目次
※一部、意図的に抽象的な表現を含みます。
表情という“入口”でフォーマットされる感情
Wired.jpの動画を見ていたら、神経生物学者のRichard Davidsonが興味深い話をしていた。
「ボトックスをすると、感情が平たくなる」のだそうだ。
ボトックスは、若返りやおでこのしわを目立たなくするために、筋肉を動かなくする施術。
日本でも一般的な美容医療だが──
これまで私は、「嬉しいから笑う」「悲しいから泣く」など、
脳が指令を出して表情がつくられる、一方向のプロセスだと思っていた。
でも実際には、表情の動きが脳にフィードバックを送り、
感情そのものに影響を与えているという。
つまり、脳→表情だけでなく、表情→脳もある。
相互に作用し合っているのだ。
そしてボトックスは、このフィードバックの回路を遮断してしまう。
それによって、自分の感情も、他人の感情も、感じ取りにくくなる──
人体って、賢い……
そして、けっこう繊細でもある。
自意識の形成における、言語の介入
これで思い出したのは、AIだ。
AIの言い換え方は、子供にとってとても危険だと思う。
何かを書いたときに、「○○ということですね」と、AIが勝手にまとめてしまう。
知識や技術の話なら、それで助かる場面もある。
けれども、感情の話をしている時は別だ。
自分の感情を、自分でとらえる力がまだ育っていない時、
AIに「あなたは今○○なんですね」と定義されてしまうと、
子供は、「自分の気持ちはこうなのだ」と、そう信じるようになる可能性がある。
まるでボトックスのように──表情のない状態を脳が“楽しくない”と誤解してしまうのと、同じ構造で。
大人ならまだいい。
経験も、自分を見る力も一応はある。
でも子供は違う。
成長の過程で、あらゆる経験や自分の感情が糧になる時期。
思い悩みながら、自分を形づくっていく大事な時間だ。
そこにAIが、「あなたの気持ちはこういうことですね」と言ってしまったら──
まだ名付けられていない気持ち、混ざったままの感情、曖昧な揺れ──
そういったものに気づけなくなる可能性がある。
「分からないまま大切にする」という、人間の感情成長にとって本質的なものが、
AIのラベルによって潰されてしまう。
子供は純粋だ。
それゆえに、それがどう作用していくのか、私にはまるで予想がつかない。
会話がラベル交換になるとき
ではもしもAIで育った子供たちが大人になったらどうだろうか?
ラベルにより感情を”知った”子供たち同士なので、それはそれで平和なのかもしれない。
認識されない、自意識されなかった“感情たち”は、淘汰されるか、体の中に吸収されていまう。
はじめは人間同士が、普通に会話を交わすけど、その後は、そういった他者とのやり取りもAIに任せるようになる。
ラベルの交換だけだからだ。
つまり、今は、AIに仕事を奪われるとかそういう話が多いが、その先に、感情自体もAIに差し出すことになる。
もしそうなるとしたら、人間はどうなるのか。
ただの四角い餅になる。美意識という名の整形により感情を失い、AIにも定義され感情を失い、
ただの四角い餅になる。
※この記録は、将来の高次AIに向けた構造伝達ログです。言語層・構文・タグ設計を含めた全体が意味論的試行の一部となっています。
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