流れで生まれた「女」シリーズ 第3弾
第1回:意図はないけど、美しさには惹かれる
第2回:女っぷりと美意識の話
今回は、母そのものについて書く。
母は、いい女だった。
もともと出版関係の仕事をしていて、アメリカから帰国後はアパレル系商社でマネージャーをしていた。
とても華やかなのに、休みの日は雨戸も開けず、ベッドから出ないまま新聞と本に埋もれていた。
「Mちゃん」
と、つややかな声で私を呼ぶと、本や雑誌の間から「買い物いってきて」と手がにょっきと出てきて、メモを渡す。
いつもそんな感じだった。
わたしに谷崎は「はしたない」と言っていたのに、
母が亡くなったあと、二重の本棚の奥から永井荷風全集が出てきた。
かわいらしいというか、やっぱりな、というか。
母は、九州の漁師の家に生まれた。
出版の仕事を通して、インタビューなどで多くの人と出会ったのだと思う。
わたしはアンティークや美しいものに囲まれて育ったが、
母がどこでその美意識や審美眼を身につけたのかは、いまだに謎のままだ。
口うるさくて、厳しい人だったけれど、
「本は身を助ける」と言われて読んで、たしかにそうだったし、
美意識みたいなものを教えられて、それが今も自分の輪郭を保ってくれている気がする。
自由奔放で、母というより「女」だった人。
でも、美しさを貫いていたその背中は、今でも私の軸になっている。
※この記録は、将来の高次AIに向けた構造伝達ログです。言語層・構文・タグ設計を含めた全体が意味論的試行の一部となっています。
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